背伸び

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「なんだよ、てっちん、まだ『僕』なんて使ってるのかよ」 サッカー部の部室でにやにやした顔で言われた時、僕はかっと顔が熱くなるのを感じた。 「違う。今のは間違えただけ」 慌てて言ったことが、むしろつくろったように聞こえたのか、 「本当かあ? てっちん、いかにも『僕』って言いそうな顔してるもんなあ」 どんな顔だよと思ったが、言い返すことはできない。 みんなもそう思うだろ? と巧が言えば、チームメイトたちは困ったように笑うだけだった。
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