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合わせていた呼吸が、どちらかの身じろぎでシンコペーションを奏でた。暁斗は奏人の温かい頬に唇を押しつけ、間を置かずに更に熱を帯びて熱い、いつも自分を誘惑してやまない場所を求める。奏人は湿った音を聴きながら、唇をなすがままにされて、受け身で可愛がられる心地良さを味わった。普段淡白を絵に描いたような暁斗が、自分を欲して情熱的な姿を見せてくれるのが、無性に嬉しい。
暁斗は奏人を自分の身体の下に入れながら、唇を耳たぶに、そして首に這わせる。奏人の美しい形の唇から、喘ぎとも吐息ともつかないものが零れ出した。暁斗の胸が高鳴り、愛撫に熱が入る。奏人は腕を伸ばし暁斗の頭を抱いた。少し硬い髪が鎖骨の辺りをくすぐることさえ気持ちいい。
暁斗は恥ずかしげに縮こまっている二つの突起の片方を舌の先で、もう片方を親指の腹で慈しむ。奏人がそうされるのが好きだからだ。奏人は暁斗がそうすると分かっていたにもかかわらず、全身を貫いた甘い痺れに、背筋を反らせてしまう。
少し悔しくなった奏人は、暁斗の左の耳たぶを右手の指で挟み、捻るように撫でてやる。暁斗の注意が逸れたのを感じ、奏人は少し上半身を起こして、今度は耳たぶに口づけした。その厚みや柔らかさが愛おしくて、舌で撫でまわす。暁斗はびくりと身体を震わせた。長い指で頬を撫でられ、耳の周辺を弄ばれているうちに、股間に血液が集まって来てしまう。暁斗の呼吸が早まった。
暁斗は夢中で細い身体を抱きしめて、奏人と再度唇を重ねる。迷わず舌を押し込み彼のそれを求め、背筋をぞくぞくさせながら、ぬめりと熱に溺れる。俺の希望、俺の理想、俺の愛しいひと。奏人も自分の肌が熱くなり、下半身の疼きが大きくなるのを感じていた。底無しの沼に沈むようなのに、感覚を支配するのは甘い思いばかり。あなたの傍にいる限り、僕はもう苦しむことはない。
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