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暁斗は何気に身を寄せ合っているお互いの滾ったものを、一緒に右手の中に握りこんだ。一度奏人が同じことをしてくれて、とても良かったからだ。あんなに上手には出来ないだろうし、同時にマスターベーションをすることになるのも、抵抗が無いと言えば嘘になるけれど。
奏人は薄暗がりの中で、笑っているように見えた。暁斗はそっと手を動かし、奏人が良くなってくれることだけを望み、自分が感じる刺激に意識を向けないようにする。
奏人は暁斗のやろうとしていることを直ぐに察して、素直に嬉しく思った。優しく刺激を与えられて、思わず声が出た。暁斗の手の動きが大きく、強くなるが、躊躇いがあるのを感じる。奏人は彼の迷いの理由に思い至り、自分も左手を下に伸ばす。暁斗の手の甲をまずそっと包み、彼の手を自分のもののほうにずらしてやる。熱く脈打つ彼のものには自分が触れた。
奏人が指先で、もう濡れ始めている暁斗の先っぽをなぞると、彼は腰を引こうとした。それは許さない、自分のものとくっつけておいてくれなくては。彼に指を食い込ませることになってしまい、悩ましい声が降って来た。
暁斗は頭をくらくらさせ、喘ぎながら奏人と自分のものを扱く。彼のものも熱く震えていた。添えられた彼の手の動きが快感のうねりを増幅させ、その可愛らしい喘ぎ声が聴覚を打つと、悦びが脊髄から脳天に一気に駆け上がる。理性も自我も、荒れ狂う欲情の溶岩流の中に飲み込まれそうだった。もう持たないという思いは、暁斗の全身を満足感で締め付け、同時に微かな絶望感のようなものを催させる。部屋の中に、二人の吐息混じりの声と、シーツの擦れる音が淡く響く。
内臓まで火照るような熱に煽られて、奏人は呼吸を細切れにしながら、限界が近いことを悟る。一緒に。目を開けて暁斗を見ると、体勢を維持するので精一杯に見えた。愛おしくて口づけすると、暁斗は奏人の口の中に喘ぎ声を送り込んでくる。ほんとうに可愛い人だ。奏人は彼の首の後ろに右手を回して、自分のほうに押さえつける。だってあなたは僕のものだから。
暁斗は息ができないくらい口の中を攻められて、唇の端から唾液が溢れたことにも気づかないくらい、意識が飛びかけていた。薄目を開け、夢中で自分を貪る奏人の長い睫毛を見つめながら思う。俺を堕落させる、聖なる存在。そう、いつまでも俺はあなたのものだ。
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