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ほぼ同時に昇りつめて、二人分の白濁した液体を受け止めた奏人の薄い腹を、暁斗が丁寧に拭った。まだ何か欲するように手を握り合い、お互いの呼吸が落ち着いてくると、向かい合って見つめ合う。
暁斗は奏人の美しい肌を汚すような終わり方をしたくないのだが、彼が敢えてそうなるように仕向けて来ることや、汚されて恍惚とする彼の表情に、身体の奥底を激しく揺さぶられてしまう。奏人は暁斗の熱い体液を浴びることに喜びを感じるし、いつも彼が優しく後始末をしてくれるのも嬉しいのだが、それを口にするのは引かれそうで恥ずかしい。
でもこういう時は、そんな羞恥混じりの軽い気まずささえも、柔らかな甘さを帯びる。このまま眠りに落ちて、朝日に目覚めても、お互いの存在を一番に感じることのできる、幸福。
今夜は悪霊も出てくるかも知れないというけれど、あなたが一緒だから怖くない。相手の温もりが手の中から全身に伝わるのを感じながら、口に出さずともお互いに伝えたい言葉は同じだった。――あなたを愛している。
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