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どうせ
下人。それは『人間よりも地位の低い者』を指す。
現在、人間と幽霊が共に生活をすることが可能になった世の中。
しかし幽霊は『下人』として扱われ、家事や洗濯など、日常生活のすべてを行わされこき使われる。
そんな下人たちが集まる場所は、『下人収容所』と呼ばれるところで収容され、雇い主が来るまで下人同士で生活をする。
下人収容所は山の中にある。
その先には、一本のそれは大きな大きな木がある。
「ねぇ、ダージー。人間ってどんな者なのかしら」
輝かしいものを想像しながら、ルマは木の幹に乗りながら言う。
「きっと、色んな顔がいるのね、私たちと同じような」
ルマ・ハウン。彼女は下人であり、幽霊である。
「何言ってるんだよ、知ってるだろ。下人は人間より地位が低いから、どうせ邪魔者扱いされる」
そう言って僕は、地面に落ちている木の枝を踏み折る。
僕の名前はダージー・イルン。僕も下人で幽霊。
僕とルマは、『下人収容所』に住んでいる、というか一時的にいる。
まだ僕達は14歳。15歳になれば、命令が出され、人間たちの元へ行かされる。
「なんでそんなひどいことを言うのよダージー。人間といっても、きっといい人はたくさんいるわ」
幹からおりたルマは笑っていった。
…そんなものがあるものか。
「ルマ、シヘルの手紙を読んだだろ。
『毎日が大変で、疲れたよ。もう一度君たちに会いたい』って。
僕達はここを出たら、絶対幸せになれない」
夢なんて見てられない。理想なんて考えるな。
そうすれば、期待も幸せを願うことなく、人間たちの元へ行ける。
「もうダージーったら!」
そう言ってルマは、先に帰ってしまった。
「何をやってるんだい?」
後ろから声がした。
「…マルク先生!」
それは、下人収容所の所長のマルク・ニンジ先生だった。
マルク先生は、僕達にお話をしてくれる。
マルク先生は人間なのに、下人の僕達を差別することなく接っしてくれる。
「マルク先生!お体は大丈夫ですか!」
先生はもう70歳で、杖をもって移動をしている。
「ありがとうダージー。君は本当に優しいね」
僕の頭を、先生は優しく撫でてくれる。
「もう少しでおやつの時間。一緒に帰ろうか」
そういって先生はよろよろしながら、ゆっくり歩いていく。
僕はその先生の背中に手を当てながら、一緒に帰っていった。
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