これから

1/1
前へ
/11ページ
次へ

これから

「強く生きなさい。自分らしく、自分の色で」 マルク先生の言葉が、今も心に残る。 頭に残る先生のぬくもりが、とても。 「僕達って、何歳まで生きられるのかな…」 ルマと木のブランコに乗っている時、ふとそんな事を考えた。 「僕達下人だけど、それ以前に幽霊なのに。 幽霊って、死ぬのかな?」 楽しくブランコに乗っているルマは、風に吹かれながら気持ちよさそうだ。 「知らなーい!私たちは長生きできるのよー!」 大きく揺られるブランコに乗りながら、ルマはウキウキとしていた。 「…僕達には寿命がないんだ。 だから不安なんだよ。 もし人間のもとに行って、人間がこの世から亡くなった時、僕達はどこに行けばいいの?もしこの収容所を出て、二度と帰ってこれないって言われたら、 僕達は…」 僕はブランコをこぐことをやめ、地面に足をつけた。 「…ルマは、不安じゃないのか?」 ルマに話しかけると、ルマはブランコを掴んでいた手をバットはなし、 ジャンプをして着地した。 「不安なことばかり考えてたら、これから起きる楽しいことさえ不安に思っちゃうわ。もっと自分の思いたいように思うべきよベーターは!」 クルッと回って僕の方へ笑顔を向ける。 …自分の思いたいように。 「ようだね」 ブランコから立ち上がり、空を見上げる。 太陽が、僕らを照らしていた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加