おかえり

1/2
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

おかえり

「僕、人間はマルク先生みたいな人ばかりじゃないって怒って、ルマを突き放しちゃったんだ」 「そうかい」 マルク先生は優しく微笑む。 「ダージー、自分の胸に手をあててごらん」 「うん」 僕はそっと、自分の胸に手を当てる。 「ダージー、これだけは信じてくれないか。 優しさは、信じる気持ちから生まれる。 だから、ダージーはもっと誰かの言葉を信じなさい。 自分の思っていることばかりが全てじゃないのだから」 僕はコクリとうなずく。 信じる…それだけで僕は、きっと変われるのだ。 「ダージー!!!」 収容所に帰ると、ルマが走って飛びついてきた。 「ルマ!」 僕は思わず叫ぶ。 今はもう暗い時間。ここにいるってことは、見つかったのか! 「ルマ」 「…!マルク先生!」 するとルマは、今度はマルク先生の元へ駆け寄る。 「…おぉルマ、良かった良かった」 マルク先生は優しくルマの頭を撫でる。 嬉しそうに微笑むルマ。 良かった…。 「しかしルマ、なんで急にいなくなったんだい?」 「それは…」 ルマは困ったような表情に変わる。 「…寝ちゃってたの!。で、暗くて道がわからなくて迷ってたの」 数秒の沈黙のあと、ルマはそう答えた。 「そうかい。さぁ中に入ろう」 そう言ってマルク先生とルマは中に入っていった。 その二人の元へ僕も駆け寄り、一緒に部屋へ帰っていった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!