おかえり

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ある日僕は、収容所内でルマとかくれんぼしていた。 あまり見つからない場所…と探した後、職員室の裏に隠れることにした。 職員室は、収容所とは別棟で、渡り廊下で繋がっている。 壁にもたれて隠れていると、何か職員室から聞こえた。 「え!?どういうことですか?」 それは女の先生の声だった。 何を荒らげているんだろう…。 「下人たちが人間界の元へ行く年齢が15歳から14歳から引き下げなんて…どういうことですか!?」 え…。 僕は耳を近づける。 「…それは」 マルク先生の声だ! 「…今、人間たちの世界では少子高齢化が進んでおり、 若者が減っていて困っているのです。 その少子高齢化により、人間たちの世界では下人をもっと雇うべきだと言われて…。先程、年齢に引き下げが決定したそうです…」 「そんな…」 「しょうがないことです。下人…子どもたちは、自分の地位をまだ持つことはできていないに等しい。 守ることなんて、今はできないのです。 ただ今、一緒にいることが大切なのです」 僕達、もうすぐ人間の元へ行かされるの? まだ、ここにいれないの? 何かが来る気配がする。 「み〜っけ!!!ダージーそこにいたのね!」 目の前に、明るい太陽な笑顔が見えた。 「ルマ…」 目の前に、何も知らないルマがいる。 「ねぇ、先生たちなにか話してるの?」 僕はハッとする。このままいたら、ルマも耳にしてしまう。 だめだ、まだ…。 …まだ、一緒にいたい。 「ううん、ただの世間話だよ」 「世間話?」 不思議な顔をするルマ。 まだ、知らないほうが幸せなんだ。 僕はルマの手を引き、その場を離れた。 人間たちは卑怯で、卑劣で。 だから僕は、人間が嫌いだ。
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