賢一郎を迎えて

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 賢一郎はジュンの言葉に頷きながら話す。 「そうなんだよ。あの人たちが工作員なんだ。今こうして話をしている間も、私が逃げ出しはしまいかと、この家全体を見張っているはずだよ」  ジュンは立ち上がって、リビングのガラス戸の方に駆け寄り、かかっているレースのカーテンをそっとめくった。スーツ姿の男が一人だけ玄関の前に立っているのがわかる。  最初に二階から見たのは4人だったから、残りの三人は、どこか別の場所からこの家を見張っているということなのか?  ジュンは思わずカーテンを閉め切って、テーブルの方に振り向きながら賢一郎に言う。 「おじさん、どうするの? これから……この後、あの人たちに連れて行かれちゃうの?」 「賢一郎さん、行くことはないですよ! わたし、警察に連絡します!」  芹香が立ち上がり、強い口調で言った。  だが、賢一郎は寂しそうな顔で彼女を見て、首を横に振った。 「彼らは、警察も政府関係者も、どうにかして味方に付けている可能性が非常に高いのです。それらの情報網を使って私を捜し当てたようですし……。ですから、警察に連絡などしても、私を助ける側には回らないでしょう」 「そ、そんな!」うな垂れる芹香。  その肩を抱きながら、百代が言う。 「それじゃあ、賢一郎さんは……捕まってしまうしかないんですか?」 「…………実は…………捕まらないための方法が一つだけあります」  賢一郎が芹香の泣き出しそうな顔を見ながら言う。  ハッと目を見開いて潤んだ瞳を彼に向ける芹香。 「『方法』って?」  マキが眉間にシワを寄せる。  賢一郎は言った。 「私がもう一度、姿を変えることです!」  その場にいるみんなの目が見開かれて、賢一郎に向けられる。  ジュンが口を開く。 「どういうこと?」 「もう一度、若返るということだよ、ジュンくん。マナ・キャンディを使ってね」 「でも、キャンディは確か『4粒』で――」  ジュンは昨日の賢一郎の説明を思い返してみた。
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