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しばらく家路を歩いたが、不思議なことに仔猫の鳴く声はいつまでも聞こえてくる。
振り返ると、なんとその黒猫は二人の後をよちよちと一生懸命に付いて来ていた。
「ジュンちゃん、あの子、付いて来てるよ」
マキがそう言った瞬間、トラックが仔猫の横をすれすれで通過!
「ああっっ!!」二人は思わず叫んだ。
すぐに駆け寄り、ジュンはその仔猫を抱きかかえた。
「危ないよ! おまえ、轢かれちゃうところだったんだぞ!」
「ジュンちゃん、わたし、この子のことほっとけないよぉ」
マキは大きな目をうるうるさせて訴えるように言う。
ジュンも同感だった。
「ぼくもだよ……」そして、少し考えてから搾り出すように言う。「連れて……帰ってみるよ。どうなるかわからないけどね」
マキの顔がパアァと明るくなった。
「お母さん、きっと許してくれるよ。だって、こんなに可愛いんだもん。わたしもお願いする!」
二人は顔を見合わせて頷き合うと、仔猫を抱いて駆けていった。
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