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皆がテーブルを囲み、席に着いた。
まずは健吾が口を開く。
「それにしても、賢一郎さん、驚きましたよ。あなたが、ジュンくんの曾爺さんだった、だなんて」
「申し訳ない……『いつかは話さねば』と、思っているうちに、ズルズルと来てしまいました」
「マナ・キャンディの力で若返ったんですね?」
「そうです」
健吾に尋ねられ、賢一郎は先日ジュンにしたのと同じ話、つまり、自分が若返ることになった経緯をみんなにも話し出した。
孫の智志と芹香の結婚式に出席した後、政府からの依頼で内戦の最中の〈ミディアン王国〉へ行ったこと――
そこの国王が軍務に用いる為にMannaを強制的に作らせようとしたこと――
国王の娘の援助により、アメリカからの救援ヘリコプターに乗り込み、逃げることが出来たこと――
着いたアメリカ側からも、Manna の製法を教えるよう圧力がかかりそうになったこと――
そして、そこから脱出する為には姿を変えるしかなかったこと――
――それらを時間をかけて、ゆっくりと話していった。
「そして、アメリカで出会った役人が、Mannaで一儲けしようと、工作員を雇って私を追っているのです」
賢一郎はそこまで話すと、ぬるくなったコーヒーを啜った。
健吾が尋ねる。
「その工作員が、健一郎さんの居所を突き止めた、というわけなのですね?」
賢一郎はゆっくりと頷く。
「そうなのです。実は、既にその工作員たちに私は捕まってしまいましてね。……彼らは今日の午後の便で私をアメリカに連れて行く手はずを、もう整えているのです」
「あっ! じゃあ、おじさんと一緒にここまで来た人たちは――」
「おや? ジュンくん、見たのかい?」
「う、うん、二階の窓からね。……マキちゃんと『誰だろうね』って話してたんだ」
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