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「ああッ!!」思わず声が出てしまった。
なんと、擦りむいて血が滲んでいたはずの自分の両脚が、きれいに治っていたのだ。
両手も見てみる。小さな傷さえ見当たらない。ひりひりとした痛みも全く感じなくなっていた。
ジュンは思わず目の前の穏やかな瞳を凝視。
「お……おじさんは……ま……」
思わず「魔法使い?」と言いそうになってから、その子どもっぽい発想が恥ずかしくなり、質問は飲み込んだ。
だが、男にはジュンの言いかけたことがわかったようだ。またしても楽しそうに笑いながら首を横に振る。
「私はね、太陽のエキスを固めてMannaにしただけ。このケースを使ってね」
「でも、だって、こんなことって……」
「それが、太陽の光のエキスの力なんだよ」
ジュンが呆然としていると、男は背負っていたリュックを下ろし、そのポケットから小さなビンを取り出した。
そして、ケースの引き出しの中のMannaのうちの幾らかをそのビンに移し入れてから栓をして、ジュンに差し出した。
「え?」
ジュンは思わず受け取ったが、わけがわからず、ぽかぁーんとした顔。
すると、男は、ほっこりとした笑顔を見せて言った。
「仲良くなった記念にね、それは、あげるよ」
「本当に? いいの? ホントに?」
「だが、使い方には気をつけるんだよ」
「え?」
「絶対に、一度に4粒以上食べてはいけない。もしそれ以上食べると、その人の身体はね、あまりにも強い刺激で壊れてしまうんだ」
「ええっ! ば、爆発するとか?」
ジュンはさっき口に入れたときに、その粒が力強く弾け回ったのを思い出して少し背筋がゾッとした。
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