手紙

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 リハビリから、ベッドでの世話、下の世話までさせた私だったのに。入院生活がほとんどで、どこにもデートなんてした事も無かった私達。こんな私に優しく介抱してくれていた人物に対してだ。 「あなたは何も間違った事はしていないわ。右腕だった人も本当の所な んてあなたを心配してたはずよ」 「うるさい!俺の事業だった。俺の!俺は奴らに騙されていたんだ」 「もう、どうしたの? 悟さんらしく無いです。以前の悟さんなら、社員の言う事だからと信じていたじゃないですか!?」 「信じる!?信じた結果、会社を取られたんだぞ。その上俺は、ベッド から起き上がる事が出来ない。お前もこんな奴にいつまでも付き合って ないで、どっか他にいい男でも見つけろよ!」 「何て事いうのですか?悟さん、本当のあなたはもっと優しくて、頼りがいがあったはず。どうしてしまったの、悟さん」 「うるさい。出て行けえ! もう顔も見たく無い」  出て行けと告げたあの日から、彼女は私の元に来なくなった。  いや、私が来させなかったのかも知れない。 その後も彼女は毎日通ったり、電話もしてくれていた。
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