2・過去

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それに本当に楽器が好きで集ってくる人達の瞳は輝きに満ち溢れ、楽しそうに語る、そんな人達を見ることのできるこの場所が好きだった。 「みーちゃん、22時だよー。お疲れー。」 「お疲れ様でーす。」 あっという間に時間となり私は急いで2階へ行く。2階へ着くと杏子先生が待ってましたというような表情で「早速、始めましょう。」とレッスンを開始する。 本当は杏子先生と歌のことについて話したりしたいけど、私には時間がない。1時間半のレッスンを終えると急いで支度し駅に向かう。いつも終電にギリギリ間に合う時間になってしまうことを杏子先生は知っているため、私に合わせてくれているのだ。 レッスンが終わり「ありがとうございましたー。」と言いながらビルの階段をかけ降りると、もう閉店時間が過ぎているのに楽器店の明かりが付いていた。 たまに店主とお客さんで話し込んだりするとこういうことはあるため、特に気にせず駅まで走って今日もギリギリ終電に間に合い帰路についた。 翌日、バイトに行くと昨日来ていた3人組の男子がすでにお店に来ていた。今日は併設しているスタジオを借りて何なら練習する様子だ。その証拠にそれぞれが楽器を持ちスタンバイしていた。
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