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4・失踪前夜
渋谷のスクランブル交差点が一望できる駅前に立ち、大きく派手に宣伝されているclownのポスターやスクリーン画面に映し出される映像を見て自然と深く溜息をついた。
「ネットニュース見た?」
「見た見たー、あれホントなの?あのモデルの売名行為じゃなくて?」
「そんな感じするよね。私はてっきり魁は魅Reyのことが好きなんじゃないかって思ってたよー。」
「私も。魁はいつも魅Reyのことばっか見てるというか、見守っているというか。」
「あの2人なら美男美女で許せるのにー。」
女子高生達の会話を偶然聞いていた私は被っているキャップのつばを持ち、更に深く押し下げた。
「……デジャヴかよ。」
そして、人々が行き交うスクランブル交差点を背にして私は渋谷駅へ歩き出した。
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