re:born

11/16
44人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
――いつからだったろうか。  小学校に上がる頃には、既にスカートを履くことに抵抗があって。  地元の高校で女友達と話していても、何となく合わないことに気づいていた。  家ではもっぱらジーンズにトレーナー、日曜日なんかスエット上下。  色気のいの字すらない自分に、姉はいつも顔をしかめていた。  髪の毛はショートカットで、下手したらクラスの男子たちよりも短くしてたかもしれない。  「私」というのに違和感を感じて、自分のことをずっと「自分」って呼んでいた。  更衣室で着替えるのが恥ずかしくて、皆を見ないように背中を向けて入り口近くで着替えた。  親友だったはずの女の子の手に触れたいと思ったのは、高2の時。  一緒にいるとドキドキして、恋だと気付いた時に自分は変だと思った。  だって、女が女を好きになるなんて?  おかしい、なんか、おかしい。  おかしいって気づかれちゃいけない、だから。  友達に勧められるまま、自分のことを好きだという男の子と付き合った。  キスされて、思いきり突き飛ばした。  気持ち悪かったんだ……。  泣いて、泣いて、気が付いた。  自分が好きなのは女の子だってことに。  自分はずっと男の子になりたかったってことに。  生まれ落ちた性にずっと違和感を感じて生きてきたことに。  東京の大学で出来た友達に、はじめてカミングアウトをした。 「そうなんだ」  さして驚かれることもなく、自分という人間はという友人として仲間に受け入れられた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!