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「あんたから話聞いた後は、しばらーくショックだったさ、本当はね」
そりゃ、そうだろう。
「母さんが間違って生んでしまったんだろうか? 母さんのせいだ、って」
「んなことないから!! 母さんのせいじゃなくって」
「うん、調べた。原因はわからないって。したけど、やっぱりね」
ごめんね、と自分の頭を撫でてくれる母の手は温かかった。
「茜と同じように育てながらもさ、本当はずっと母さんも疑問だったの。なしてこの子は髪を伸ばさせてくれないんだろう? なして、スカート嫌うんだろう? もしかして? ってどっかで思ってはいたのよ、したけどさ? 認めるのが辛かったんだわ。娘二人産んだつもりなのに、一人息子になっちゃうだなんて」
「だよね、ごめんね、突然さ」
「ううん、ずっと苦しかったんでしょ? 本当はずっと言えなくて苦しんだんでしょ? やっと母さんと父さんに話に来てくれたのに、あの時ごめんね。いっぱいいっぱい、酷いこと言ったよね。頑張って言ってくれたのにね、ごめんね」
ううん、母さんが悪いわけじゃない、と首を降ったら涙が溢れ出た。
次から次へと止まらない涙は、母にも伝染したらしくて。
「あんたが泣くから」
と母は泣き笑いしながら、自分を抱きしめた。
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