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「おやすみ」
「おやすみなさい」
母さんの胸の中、泣き疲れてそのまま目を閉じた。
こうしてると、まるで小さい頃みたいで。
ううん、暗闇の中で感じる母さんの鼓動に。
もう一度胎内に戻ってしまったような気がした。
心地よく微睡に落ちる手前で。
「葵」
「うん?」
「母さん、実は息子も欲しかったから、丁度いいかもしんないね」
「ふっ、良かった。丁度良くて」
――これは、自分が生まれ変わる前の夜の話だ。
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