re:born

　さして広くもない部屋を見渡した。
　観葉植物はサキちゃんにお願いしたし、動物は飼ってはいない。
　冷蔵庫の中身も腐る様なものは入っていない。
　部屋の窓の鍵は二重ロックもしたし、お風呂もトイレも磨き上げた。
　日帰り手術も望めたけれど、術前検査と術後の痛みやドレーン抜去などで何度も通院するよりは、と五日間入院させてもらえることになる。
　明日の月曜日に入院し、この部屋に自分が戻って来るのは金曜日だ。
　小さなトランクにパジャマを４枚、それから下着、スリッパに洗面道具。あ、スマホの充電器と暇だろうからタブレットも持ってこう。
　後は寝るだけ、と歯磨きをしている時だった。
　部屋に鳴り響くピンポーン、数秒置いてピンポーンピンポーン。
　時計は２１時過ぎ、なんか宅配便でも頼んでたっけ？　とインターホンのカメラに映る人物を確認して口から勢いよく歯磨きの泡を巻き散らかした。

「っ、なんで？！」

　慌ててドアを開けた先に、両手に大荷物を持った母さんがいた。