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「井戸も橋も、対岸をつなぐもの……つまり異世界への通り道。冥府の番人の直系が、知らぬこととはいえ二人がかりで地獄に通ずる井戸を開けてしまうとは。嘆かわしいね」
溜息ひとつ。
それだけで全然がっかりした素振りも見せてないのに、言う事は相変わらず辛辣だ。
「そうでなくとも今日は地獄の蓋が開いているっていうのに」
そうか。今日はお盆の初日だ。小さい頃、母に「お盆の間は地獄の窯の蓋が開いているから、姉弟ケンカなんかしちゃダメよ。地獄に落ちちゃうわ」って脅されてたっけ。
(あ、そっか。井戸を通ってきたから、私、怪我してないんだ)
いやいや、それよりもビックリなことを篁さんが言ってたぞ。
「直系?」
「そう。日向とお前の父……それと弟もだね。お前たちは私の血を引いているようだ。だからあの要石を動かせたんだろう」
あちゃ。他の人だったら、動かせなかったの?
地獄に通じている井戸を開けちゃうなんて、それはトンデモナくマズイことをやらかしちゃった。
「しかも、日向。お前はずいぶんと私に近い力を持っている」
「え?」
「要石、お前が持つと軽く感じなかったかい?」
言われてみれば。
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