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8月14日
夢から覚めた私が見たものは、早朝5時にも関わらず、弟の影士と父が、「ぎゃぎゃ」鳴いている小鬼を捕まえては、庭の井戸に放り投げる光景だった。
(夢じゃなかったんだ……)
だって、メガネなくっても地獄の景色が良く見えたから、てっきり夢だと思ってた。
だから「地獄行」と言われても、しょぼーんくらいで済んだ。
ちょ、まじ、私の将来……死後だけど、やばくない?
これはめいっぱい生前にいいことしないと地獄行回避できないわ。
賑やかな庭に面した縁側に行くと、小鬼と文字通り鬼ごっこする父と影ちゃん。
「この子達、どうしたの?」
と聞くと
「突然、そこからなんか赤いのが10匹くらい湧いて出たんだ」
弟がぽいっと1匹井戸に放り込みながら言った。
小鬼は、きっと私について来ちゃったのね。
「お母さんは大丈夫?」
キッチンで朝食の準備している母に声をかけた。
「大丈夫よぉ。時々モノが飛んでくるのは困るけど、私には何にも見えないから平気」
それは普通「大丈夫」とは言わない。
小鬼がふざけ半分で、捕まえようとする父と弟にものを投げているらしかった。
「だから、お父さんと影ちゃんに捕まえてもらっているの」
呑気なもんだ。
お母さんは小野家の嫁。篁さんの血が入ってないので見えないし、触れないみたい。
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