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その日も熱帯夜だった。
「日向……、日向……」
優しい声に呼ばれて、目が覚める。
「あれ? 篁さん」
相変わらず赤茶色の灼熱の大地。草木はまばら。鬼にいたぶられて遠く泣き叫ぶ声がこだまする。
「蓋をして重石までしたのに、また、私、地獄に来ちゃったんですか?」
「すまないね。今回は私がお前を呼んだんだ」
明日、また小鬼捕獲大作戦か。
あの子達、可愛いけどちょろちょろ逃げるから捕まえるのはちょっと面倒。
「日向。よくお聞き。どうやらお前たちは利用されて、冥府に通ずる井戸を開けさせられたようだ」
「利用され……?」
「そう」
篁さんが神妙な顔をして頷いた。
「いや、そんな、まさか。私たちは庭の掃除をしただけですよ。草を刈っただけ。たまたま池の縁石と間違えて、井戸の要石を動かしちゃっただけですよ。利用されてって……」
んなイドイド詐欺みたいな言い方をされても。
「実は『たまたま』も『偶然』も、ないのだよ」
はい?
「世の中は常に『因果応報』」
因果応報?
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