8月14日

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「そこで閻魔様からのお言葉だ。 『逃げ出した地獄の亡者、すべて捕えよ』  これで今回の日向の『うっかり井戸を開けちゃいました』をチャラにしようというお計らいだ」 「ひぃ?! 私?」  自分でも情けない声だと思った。  ホラーな夢が、一瞬でアクションでバトルものに変化した。 「いや、無理ですよ。だって、私は普通の女子高生です。この右目で地獄の亡者を見つけたって、捕まえるなんてできっこないですもん」  特に運動神経がいいとか頭がいいとかもない。  吹奏楽やっているから、リズム感だけはいいと思うけど、それが地獄の亡者とのバトルに役立つとも思えない。 「じゃあ、地獄行だよ? それは嫌だろ?」  ぶんっと音が鳴りそうなほど、首を縦に思いっきり振った。 「だったら、がんばって捕まえておいで」 「いや、無理無理無理無理」 「やれば、できる」  そんなシュウゾウみたいに熱く言われても。 「いや、無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理……」 「困ったね」  こんなヘタレで時間にルーズでポンコツな子孫()の為に、しばらく篁さんは考えてくれた。 「仕方ないね。それでは特別に、冥府の部下・牛頭と馬頭を派遣するとしよう。彼らの力を借りて、亡者を捕まえておいで。どうだい? それなら頑張れる?」  それなら……!  私はここまで頑張ってくれるご先祖様に顔を上げ、涙目で思いっきり頷いた。  こうして、うっかり冥府への井戸を開けてしまった私は、そこで待っていたご先祖様に勧められるままに「冥府の番人」をすることになってしまった。  地獄の亡者・23人。  頑張って早く捕まえようっと。 終わり。
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