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庭の奥には風流な池があったみたいだけど、今はすっかり干上がっている。その池を縁どるように石が置いてあった。
「古い家だからなぁ」
父は縁どっていた石の一部が転がったものと思ったようだ。
「ぬぬ? 意外に重い……」
一人では無理だと思った父は
「おうい、日向。手伝ってくれ」
刈った草を小さく丸めてはゴミ袋に詰めてた私を呼んだ。
父と二人でよいしょっと持ち上げる。二人だと、意外に石は簡単に持ち上がった。それを池の縁に置き、元の位置に戻したつもりだった。
そんな感じで大体庭が綺麗になった頃、虫嫌いで手伝わなかった母が「二人とも、お昼はソーメンでいい?」と声をかけてくれたので、お昼ご飯にしたんだった。
今にして思えば、あの石は本当に重石だったのかも―――――。
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