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夜中に、なんだかゴトゴトとやたらと物音がしたのを今でも覚えている。
古い家だから家鳴りも仕方ないのかも……と思って、そんなに気にせずに、寝苦しい熱帯夜に何度も寝返りを打ちながら、私はまどろんでいた。
ぎゃ……ぎゃぎゃ……。
まるで猿か何かのような鳴き声が、すぐ傍で聞こえる。
(うーん。なんだろ。騒がしい……)
こんな住宅街に猿でも出たのかな。
(まあ、高速は山を切り開いて作ったらしいし、この家が山に近いと言えば近いから。そんなこともあるのかも……)
またもや呑気に構えていた。
ぎゃ……ぎゃぎゃ……。
さっきよりも近くで聞こえる。
(ん?)
っていうか、これ、家の中で聞こえてない?
いくらなんでも、猿が? 家の中で? おかしくない?
(そうか。これ、夢だ……)
と私は思った。
思うものの、にぎやかさはどんどん増してくる。
いらり。
「ん、もー! 眠れないじゃない!」
私は、がばっと起き上がって怒鳴った。
「……何? これ」
上半身を起こした私の周りには、変な生き物が居た。
小さくて全身真っ赤で、サスマタみたいなの持っていて……頭に角がある……鬼?
でもなんか、可愛い。
二等身みたいなちっさな生き物。なんだか、赤ちゃんみたい。腰から下、布切れを巻いている。それが、おむつみたいで可愛い。
私は夏の薄手のパジャマ。赤土の上に寝てたんだけど、不思議と服は汚れていない。だけど謎の生き物が私の周りで、ぎゃっぎゃと騒いでいる。
普通だったら、絶対にびっくりして大騒ぎしていたと思うんだけど、私は「夢」だと思い込んでいたので、そんなに驚きもしなかった。
それどころか小さな生き物に、サスマタでツンツン突かれて
「も、生意気!」
と、手で「しっしっ」と追っ払うくらい大胆な行動に出た。
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