8月13日

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 夜中に、なんだかゴトゴトとやたらと物音がしたのを今でも覚えている。  古い家だから家鳴りも仕方ないのかも……と思って、そんなに気にせずに、寝苦しい熱帯夜に何度も寝返りを打ちながら、私はまどろんでいた。  ぎゃ……ぎゃぎゃ……。  まるで猿か何かのような鳴き声が、すぐ傍で聞こえる。 (うーん。なんだろ。騒がしい……)  こんな住宅街に猿でも出たのかな。 (まあ、高速は山を切り開いて作ったらしいし、この家が山に近いと言えば近いから。そんなこともあるのかも……)  またもや呑気に構えていた。  ぎゃ……ぎゃぎゃ……。  さっきよりも近くで聞こえる。 (ん?)  っていうか、これ、家の中で聞こえてない?  いくらなんでも、猿が? 家の中で? おかしくない? (そうか。これ、夢だ……)  と私は思った。  思うものの、にぎやかさはどんどん増してくる。  いらり。 「ん、もー! 眠れないじゃない!」  私は、がばっと起き上がって怒鳴った。 「……何? これ」  上半身を起こした私の周りには、変な生き物が居た。  小さくて全身真っ赤で、サスマタみたいなの持っていて……頭に角がある……鬼?  でもなんか、可愛い。  二等身みたいなちっさな生き物。なんだか、赤ちゃんみたい。腰から下、布切れを巻いている。それが、おむつみたいで可愛い。  私は夏の薄手のパジャマ。赤土の上に寝てたんだけど、不思議と服は汚れていない。だけど謎の生き物が私の周りで、ぎゃっぎゃと騒いでいる。  普通だったら、絶対にびっくりして大騒ぎしていたと思うんだけど、私は「夢」だと思い込んでいたので、そんなに驚きもしなかった。  それどころか小さな生き物に、サスマタでツンツン突かれて 「も、生意気!」  と、手で「しっしっ」と追っ払うくらい大胆な行動に出た。
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