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しかも裁きを受けさせてもらえずに、有罪の地獄送りだなんて。
(言われてみれば、ここ……。国語便覧だか、日本史資料集だかで見た地獄絵図そっくりじゃない)
私は泣き出しそうになった。
でも、不思議と怖くない。
頭の片隅で
(とんだホラーで酷い夢!)
なんてぷんすか思ってて、あくまでも「夢」で済ませようとしてたから。
「正しくは死んでないけどね」
「え?」
私は、きらりと目を輝かせた。
「死んでないので、閻魔様の裁きも受けてない。そういうのを、すっ飛ばして、ここに落ちてきたようだ」
さっきから「落ちた」と言われてるけど、私の体、どこも打ってないし痛い所もない。
でもね、言っている意味は分かるの。
時々、空の方からすっごい断末魔のような声と共に、人がドサドサと落ちてくるのが見えていたから。
私は天井を仰ぎ見た。
何にも見えない。赤黒い靄みたいなのがかかっていているけど、曇天じゃない。赤土の大地を焦がすような灼熱の光を感じるけど、太陽もない。
(本当にここは地獄なんだ……)
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