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「どれ、ちょっと見せてごらん」
そう言って篁さんは私の額に手をかざして、じいっと見つめた。
なんだろう。篁さんの目。
射抜くような鋭い目なのに、すっごく優しい感じもする。
篁さんの目を私も見つめ返す。
私と弟をすっごく可愛がっていたお爺ちゃんの優しいまなざしを思い出していた。
おもむろに篁さんが
「日向。お前、井戸を通ってきたね?」
と言った。
「井戸……?」
井戸…。
井戸……。
井戸…………。
「もしかして、あれかな? 庭にあった直系一メートルほどの筒状の……木の板が置いてあった……」
そっか。あれ、井戸だったのか。
「それをご丁寧に父親と二人で要石を除けているね」
篁さんには、どうやら昼間の様子が分かるようだ。
「要石……?」
「井戸の蓋を開けられないように封印していた石だよ」
あ、あれ。
池の縁の石じゃなかったんだ。
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