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(イ)第九話「微笑みウェーブ」
お昼過ぎの電車
赤ちゃんが
隣の人に
バーと言いました。
大学生ぐらいのその人は
赤ちゃんに
ぎこちなく
バーと返しました。
その人を見て
おばさんが
微笑んで
そのおばさんを見た
おじさんが
微笑んで
それを見ている僕も、
微笑んで……。
電車の中に
微笑みのウェーブが
ゆっくり流れていきました。
出張で、京浜東北線に乗っていた時の出来事。
いつも東京に来るとギクシャクしてしまう田舎物の僕は、この時から、東京が少し身近になりました。
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