ナポリ救急センター   マテオの語り

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ナポリ救急センター   マテオの語り

 今日から三連続当直だ。先週は俺がバカンスでノルウェーに行っていた。 今度は同僚のレオナルドが休暇を取ってギリシャに行ったので、全てのことは俺がしなければいけない。 このナポリ救急センターはこの地域二〇〇万人の最終病院だ。一日に何機もヘリコプターが飛んでくる。 この地方、特にソレント半島などは急な崖の多い地域で道路はどれもやっと通れるほどの幅しかない。だから救急車が救急車にならない。緊急の時はヘリコプターが威力を発揮する。 ランチ後のコーヒータイムを終わってひと周り病棟を見回り後は、どうか平和が続きますようにと惰眠をむさぼることにした。 昔と違って昼寝の習慣はさすがに病院ではなくなったが、体がそれを要求してくる。昨日のエバとのことを思い出しながらウトウトしている時に師長が報告に来た。
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