4人が本棚に入れています
本棚に追加
エバ マテオの語り
控え室にあったブリオッシュをつまんでベッドに潜り込んだ。また次の救急に備えて休憩だ。
でもその夜それからは何もなかった。エバと夜に長いこと話していた。どうして三日も会えないのかと盛んに言われた。そんな病院辞めて私のところに来なさいと。
エバは三年前から自分で歯科クリニックを開業している。腕のいいインプラント専門の歯医者で、ニューヨークでお互い修行している時に知り合った。
俺と同じはるか南のシチリア出身だが、シチリア人とは思えないほどの勤勉家だ。そしてとても野心的。
アメリカの技術だけでなく自分で色々工夫して新しい方法を考え出し、かなり成功している。
エバはかねがね歯医者に併設の外科クリニックを作ってやれと主張している。正しい考えなのではあるが俺はまだそうやって小さくまとまることには抵抗がある。今の第一線の緊張感がなかなか手放せない。
最初のコメントを投稿しよう!