書く理由

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「アル、あなたは本当に行ってしまうの?」 「ああ、僕は行かなくちゃならない。すまない、エルザ。君を置いて行くのは僕だって心苦しい。だけど……僕は知りたくなってしまったんだ。僕の作り出した文章が星々にどう思われるのか」 「私のことは大丈夫。あなたがどこかへ行ってしまっても私はここで書き続けるよ」  彼の体は白い光に包まれて、その輪郭が不透明になり始めた。 「そう言ってくれて嬉しいよ。もうすぐ時間みたいだ。エルザ、君を一人置き去りにしてすまない。いつかまた、あっちで会えることを願っているよ」  彼の姿は消えてしまった。「星」になってしまった。ここにはとうとう私だけになってしまった。
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