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「いってらっしゃ~い」
手を振る心花。
「行ってきます」
戸惑いながら手を振り返す智樹。
そんな朝が続いた。
「お帰りなさ~い」
ドアを開けると、すぐに駆けより抱きついてくる心花。
「ただいま」と抱きしめ返す智樹。
そんな夜が続いた。
心花は無邪気だが、とても優しく、いつも疲れた智樹を労ってくれる。
料理も上手だった。
「ほら、今日は肉じゃがだよ」
「はい、餃子つくったんだ」
「ハンバーグ、上手にできたでしょ?」
みんな美味しい……。
それだけではない。洗濯も掃除も、家事全般完璧だった。
大きな事件が起こって智樹が捜査本部に加わり、家に帰る時間がほとんどなくなったとしても、心花は文句も言わず待っていてくれた。
疲れ切ってぐったりとなってしまい寝るだけの日でも、心花はけっして休むことを邪魔せずに寄り添ってくれた。
これでいいのかな……?
楽しくて心地よい生活の中で、智樹は時々疑問を浮かべる。
心花は人間ではないのだ。このままで良いのだろうか?
疑問が不安に変わろうとする頃、その人――いや、神様なのか?――はやって来た。
非番の日、心花と一緒に夕食の準備をしていた時だ。
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