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ふと思い立って、あみぐるみを編んでみようと思った。
社会人になって数年目、仕事にもプライベートにも余裕ができてきて、自分に何かもう一芸か二芸、趣味のようなものがあってもいいような気がしたのだ。
編みものは嫌いじゃない。小学生の時には棒編みでマフラーを編んだし、中学生の時には、かぎ針編みでコースターと小さなボールを編んだ。
それで、図書館であみぐるみの本を借りてきて、さっそく編み始めたのだが、これがなかなか上手くいかない。
「この本、かなり難しいんじゃない?」
私が借りてきた本を見て、母が言った。
私はその本の中から、四本足で自立するアルパカを選んで編んでいた。
全長約15cmの卓上サイズのあみぐるみである。
「もっと簡単なのから始めたら?」
私が借りてきた本は、確かにややハイグレードかもしれない。
丸っこい頭と体に顔と手足が付いているだけでない、ちょっと凝ったデザインのあみぐるみの編み方が紹介されている本だった。
図書館の書棚に大量に並んだ編みものの本の中から、私はその本を一目で気に入ったのだ。
もっと簡単な本もあったのだが、どうせ編むなら、かわいくて、ちょっとすごいのがいい。
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