月の君

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 昔々よりも更に昔。あるところに住んでいた年老いた夫婦は、光る竹の中から小さな女の子を見つけました。夫婦はその子にかぐやと名付け、大事に育てます。  やがてかぐやは美しく成長し、その噂を聞きつけた貴人たちが求婚してきました。しかし、かぐやは無理難題をふっかけてその求婚を次々と断っていきます。かぐやの無茶ぶりもまた評判となり、求婚してくる者はとうとういなくなりました。幼なじみの青年が話し相手としてそばに残るのみ。  困った夫婦は、青年にかぐやを妻としてくれと頼みますが、当のかぐやがこれまた拒みます。青年は変わらずそばに居続けたので、もうこれでいいかと夫婦は諦めかけていました。  そんなある日、かぐやは突然、自分はもうすぐ月に帰らなければならない、と言い出しました。驚く夫婦に、自分は月の人間で、もうすぐ迎えが来るのだと言います。そして青年に、だから結婚はできないのだと言いました。  青年は、ならばいつか月に迎えに行く、生まれ変わってもいつか必ず、と約束し、嘆く夫婦と共に、月へ帰るかぐやを見送りました。
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