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セキチク
小さい頃から僕は幽霊が見える。
具体的に何歳から見えるようになったか、そんなのを覚えていない。
「黒いのがいっぱいいる!」そう言うと目に異常があると思われ病院に連れていかれた、‘見えない‘友達と遊んでいたら精神科にも連れていかれた、結果は同じで異常なし。
気づけば親は僕を気味悪がっていた、そりゃそうだ。
僕の血筋は誰も霊感なんて持っちゃいない。
小学生の時友達と普通に話していると思ったらどうやらそれは僕にだけ見える友達だった、当然先生にも友達にも気味悪がられた。
そこで初めて僕は普通じゃないと感じた。
教室で痛いくらいに刺さる視線、強制的に聞こえる悪口、見えない友達が呼びかけてくる声。
僕はすべてに無視をした。
小学一年生の時に起こったこの話は僕が中学校卒業まで続いた。
中学校に入学したときはその噂はあまり信じられていなかったけれど、中学二年の秋、修学旅行の集合写真で僕の後ろ肩に誰かが手を置いているその写真が心霊写真だ、ということになり瞬く間に広がっていった。
『〇〇〇が幽霊を呼び寄せた』『あの噂は本当だったんだ』
そこからは先生も他の人も僕に関わろうとしなかった。
高校は遠くの高校にした、頭もそんなに悪くなかったので県外で田舎の高校にした。
田舎とはいっても海沿いに少し都会気味な街があり、そこには歩きと電車で一時間ほどで辿り着ける。
そして今は小さな平屋で一人暮らしをしている。
親に相談したところ二つ返事で了承を得た。
たぶん、いや絶対に僕のことが邪魔だったんだろう。
高校では友達を作ると意気込んだが、友達の作り方が一ミリもわからず、高校一年生の夏まで来てしまった。
幽霊となら楽に話せるというのに。
普通幽霊は話しかけても無視をされるか、憑かれるか、逃げ出すかの三択だ。
会話をする幽霊は珍しい、小さい時のあの子供ぐらいだ。
ただ子供は大体の場合死んだことに気づいていない場合が多い。
だから話せるし、どこに行けばいいかわからないからついてくる。
死ぬ前の記憶が抜け落ちてるんだと思う、僕もそこらへんはよくわからないけど。
ただこの女は別だ。
死んでいると自覚している。
それなのに、体も透けてもいない。
正に目の前に居る。
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