セキチク

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目を開けると午前六時だった。 学校行きのバスは午前七時に出るし、まぁ丁度いいか。 周りを見渡してみると綾愛が居なくなっていた。 消えたら消えたでいいけど。 シャワーも浴びずに寝たので上はまだワイシャツだ。 とりあえず、シャワーを浴びるために自室のタンスから制服を持ってこようとソファーから体を起こす。 変な姿勢で寝ていたせいか、肩と首が少し痛む、それか呪われているか。 自室の引き戸を開けるとベットの上に綾愛が仰向けで寝そべっている。 昨日まじまじと顔を見ていなかったがよく見てみると本当に綺麗だ。 それも人と何ら変わりない、背中まである黒い髪に白いワンピース、白い肌、赤く繊細な唇、人と同じく一定のリズムで聞こえる呼吸の音、思わず心臓の鼓動が早くなってしまう、正に人間だ。 なぜこんな人が死んでいるんだ? なぜ・・・僕なんだ? 綾愛の顔をまじまじと観察しているとゆっくりと目を開けた。 そして僕の方を見て一言 「惚れちゃった?」 顔を見られていたのがバレたせいか、それとも綺麗と思ったのがバレたせいなのか、うまく言葉が出ず顔が赤くなっていくのがわかる。 「冗談だよ、おはよ」 綾愛は起き上がりベットの上に腰を掛けた。 赤い顔を少しでも隠すため、顔をそらし、ハンガーに掛かってある二着目の制服を持ち、タンスから適当な下着とバスタオルを取り出した。 後ろの視線が妙に突き刺さるので慣れない会話を切り出してみる。 「眠くないんじゃないんですか?」 「眠くないよ?」 「でも寝てましたよね?」 「いや、目閉じてただけ」 この人は本当にわからない。 そう思いながらシャワーへと向かうが綾愛も後ろからずっとついてきている。 何回か後ろを振り向き確認してもきょとんとした顔をしている。 「あの」 「なに?」 「シャワー浴びたいんですけど」 「あ、そうなの!?ごめんごめん」 僕の持っている物でわかるでしょと思いながらリビングに向かう綾愛の背中を目で追う。 ソファーに座る音を確認して脱衣所の扉を開ける。 ワイシャツのボタンを外している途中でリビングから「お~い」と聞こえた。 リビングに行くと頑張ってテレビのリモコンを持とうとする綾愛の姿があった。 「これ、つけてくれない?」 テレビのリモコンの電源ボタンを押すと、朝のニュース番組がいつもと変わらず流れている。 「ごめんね、ありがと、ごゆっくり~」 綾愛が手をひらひらさせているのを見て、脱衣所に向かいシャワーを浴び、卵かけご飯を食べ家を出た。
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