夜空にきらめいた流れ星

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夜空にきらめいた流れ星

 卓司は夜空を見つめ続けていた。たった今、パソコンの画面に「救出は絶望的」とのニュース速報が流れたばかりだ。パソコンも、スマホもすべて電源を切った卓司。今はなにものにも邪魔されず、夜空を見上げていたい。  心は張り裂けそうで、流しても流しても止めどなく涙が流れ落ちる。けれども、夜空から目を逸らすことはできない。あの夜空のどこかにカンナがいるはずだから。  そのとき、夜空に一瞬だけきらめく流れ星が現れた。白く強い光を放ちながら、夜空にきらめいた流れ星。  一瞬の流れ星が光ったあとの夜空に、流れ星の余韻が残る。そんな夜空を見つめる卓司の目に、カンナの笑顔が浮かび上がる。絶望に暮れる卓司を待っていたものは、カンナが今、地球に帰ってきたという確信だった。 (おわり)
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