かたつむりのようにゆっくりと

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「船長、こちらフィリップ。ただいまから修理作業を開始する」  フィルの声が無線で届く。「了解」と返事するアームストロング船長の声も。宇宙の姿に見とれていたカンナも我に返る。  フィルは自分の受け持ちの場所にたどり着き、宇宙服に貼りつけていた工具の収納袋から必要な道具を取り出していた。宇宙服姿なので、けっして小まわりのきく姿ではないけれど、フィルは器用に必要な修理道具を手にする。  カンナも自分が受け持つ宇宙船の先端にたどり着く。 「思ったよりもひどい壊れ方をしてるわけじゃなさそうだ」  カンナが見つめる先にあるのは、太陽風や電磁波を観測するための測定器。使用済みになって宇宙に取り残されたままのロケットや人工衛星の破片、いわゆるスペースデブリと呼ばれる宇宙のゴミが衝突したしたらしく、観測データが正確に取れなくなってしまっているのだ。 「ただいまから作業を開始します」  カンナの言葉に、アームストロング船長が了解とこたえた。
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