ここにいては危険だと

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「カンナ!!!」  少し離れた場所で作業していたフィルの叫び声が無線越しに届く。 「こちらはフィル。緊急事態だ! カンナが宇宙空間に放り出された。すぐ救出に向かう!」  フィルは修理の手を止め、さっきまでカンナのいた場所に向かう。しかし、宇宙服のせいでどうしても素早く動けない。その間にもカンナは宇宙船から少しずつ遠ざかってゆく。 「カンナ! 無事か!」  カンナの耳にアームストロング船長の悲痛な声が響く。身体が自由に浮かぶ感覚に包まれるカンナ。私は宇宙空間に漂っている……。  信じがたい事態に思考も心も凍りつくカンナ。 「カンナは無事か? ケガはないか? 呼吸はできてるか?」  アームストロング船長の必死に呼びかけ。 「船長! カンナです。ケガはしてないみたい。呼吸も問題なし。宇宙服自体に損傷はないみたい。今のところはなんとか無事」 「よし。宇宙服は緊急モードに切り替わったはずだ。今は宇宙服に備え付けられた酸素とバッテリーが自律運転しているから大丈夫。  よく聞いてくれ。今からロボットアームを伸ばすから、なんとかそれに捕まってくれ!」  船長の言葉が終わらないうちに宇宙船からロボットアームが伸びはじめる。食料や水を積んだ補給用のコンテナを捕まえるためのロボットアーム。その先端に足下を固定したフィルが乗っている。
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