私を待っていた、まさばーちゃん

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 高校2年生になる立花(たちばな)愛衣(めい)には夢がある。  世間ではあまり人気がないどころかお給料も安くて進んでやりたがる人は少ないと言われる職業――介護士だ。  文武両道の愛衣の目指す道に周りの人は大いに驚いたが幸いなことに理解のある両親は『愛衣の好きな道に進みなさい』と言い部活に行かず学校帰りに愛衣が介護のアルバイトに行くのも許してくれていた。  運動も勉強もできるし容姿も程々にいい愛衣。  どれも飛びぬけて優れていたら高根の花となったのであろうが、美少女とまでは言い難い一般的に『可愛い女の子』である彼女は、他と違う行動をすることもあり妬み嫉みでイジメとまではいかない陰口を言うには格好の的となりやすいタイプであるのが、現実だ。  残念ながら彼女の性格もひねくれており売り言葉に買い言葉という言葉がぴったり似合いそうな会話のやりとりが同年代と多いため、嫌われることに時間はいらない程であった。  ……主に、この口の悪さが原因であろう。  だが彼女自身”どうせ大人になったら離れるような友達はいらない”という考えの持ち主なので勉強に差し支えなければ孤独でも構わない性格であった。そうして周りを気にしないからこそ、陰口や冷たい視線にも物怖じしない鋼の心も持ち合わせている愛衣。  この生意気な態度も同級生たちにとっていけ好かない人物として見られている原因だが、当の本人は全く気にしていない。  それよりも愛衣は、自分の夢を大事にしているからだ。
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