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二人三脚の紐の怒り
玉入れ台が振り返ると、二人三脚で使われる紐たちが、口々に不満を並べていた。
「おい!俺たちの役割知ってるか?さくら組の忍者の衣装の腰ベルトだぞ!?何でそんな事やらなきゃなんねーんだよ!」
「ほんとだぜ!俺たちはな、白熱の二人三脚レースのために作られたんだぞ!?繋いできたのは、足と足だけじゃない。“相手チームよりも早く走りたい!”っていう情熱も繋いできたんだ!」
「そうだ!兄貴たちの言う通りだ!子どもの腰にずっと縛られてるだけなんて、テンション上がんねーよ!」
玉入れ台は紐たちの傍へ行き、優しく語りかけ始めた。
「紐さん、最近倉庫に居ないと思ったら、さくら組に出張していたんですね。お疲れ様です。
黒いポリ袋で作った忍者の衣装、紐さんたちが居なかったら、全身真っ黒で全然映えないと思います。腰の部分に白い紐があるから、締まって見えるんですよ。倉庫の隙間から見て、そう思っていました」
「え!?そ、そうなのかよ…」
「はい。それに、さくら組の子は自分で腰ベルトを結べるようになりました。
最初の頃は上手く結べない子が多かったのに、練習を通して少しずつできるようになっていたんです。
紐さんのお陰で、子どもたちは出来る事が増えたんですよ」
つい先程まで悪態をついていた紐たちだったが、玉入れ台の話を聞くと、少し感化された様子に変わった。
「へー…、そうだったのかよ。そんじゃ、あいつらの為にもう一肌脱いでやっても良いけどよ…」
「そうだな…。まあ、黒い衣装だけじゃ目立たねーもんな。どうしても俺たちに華を添えて欲しいって言うんなら、仕方ねーな」
「兄貴たちがそう言うんなら、俺もやってやるか!」
玉入れ台も頷く。
「はい!足や情熱を繋ぐ代わりに、子どもを成長に繋げてあげてください」
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