意思持つメガネ

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「どこに置いたんだっけ…?もう、何で毎日こうなの〜〜?また時間ぎりぎりになっちゃうよ〜〜」  寝癖頭をぐしゃぐしゃと両手で掻き乱しながら叫ぶナナコ。  朝が弱いナナコは、絶対に一回のアラームでは起きない。けたたましい音が何度も鳴ってからやっと起き上がるナナコ。  けれどそこから私、メガネの大捜索で更なるタイムロス。いい加減、置き場所をちゃんと決めたほうがいいのではないだろうか。  枕元だったり、ローテーブルの上だったり、ソファのクッションとクッションの間に埋もれていたり、はたまた今日のようにテレビ台に鎮座していたり、ナナコの顔から離れている時の私の居場所は様々だ。 「今日の朝イチの打ち合わせ、私が事前準備しなきゃだから遅刻するわけにはいかないんだよ〜〜」  ついこないだまで制服姿の芋娘だったはずなのに、いつのまにかすっかりナナコは働く女になっていた。  けれどパジャマは学生時代のジャージだし、部屋は決して綺麗とは言えないし、いつまでもぐうぐう寝てるし寝癖は酷いし私のことはすぐ探すし、昔から変わっていない所を挙げればそれもまた沢山ある。  少し、それが嬉しかったりもする。  なんて言うとナナコのだらしない部分を認めることにもなりかねないから黙っておく。いや、黙るも何もそもそも私は言葉を発することなんて今はできないじゃないか。さっきそんな話をしたばかりだった。いけないいけない、分をわきまえなければ。思考の発達とは怖いものだ。
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