1人が本棚に入れています
本棚に追加
遼子の心
「二度と無いわよ」
「顔でいい」
「え?」
「顔でいいから触れさせてくれ」
「ばっか、そんなんでいいの?相変わらずつまらない人間ね」
遼子は呆れた様子だった。
私はお願いをした。
「イランカラプテ」
「は?」
「イランカラプテ」
「だから何よそれ?」
「アイヌ語、『あなたの心に触れさせて下さい』って意味」
「そんな気障ったらしい言葉なんて使わないでよ、男ならただその腕でアタシを抱きしめとけばいいの、まあいいわ、触りたいなら好きにしなさい」
私は初めて遼子に触れた。
かつて世界一「美しかった」彼女の顔に。
私はさっき嘘をついた。
遼子の変わり果てた窪んだ顔にそれでも温もりを感じながら罪の意識を感じ初めていた矢先、
最初のコメントを投稿しよう!