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私を忘れないで
遼子は私の左手を右手でがしっと力強く掴み自分の左胸に押しつけた。
「感謝しなさい、これが世界一美しい女の胸よ。まだ心臓も動いているわ。アタシこれから死ぬんだからこの感触を覚えていて!心音の響きも吐息も喚き声も何もかも!私を忘れないで!それであなたは一生寂しい独り身の御伴にでもしてくれたらいいわ!」
遼子は泣いていた。
ああ彼女は死ぬのだ。
「もういい?覚えた?」
私は頷いた。
「明日も、来てくれる?」
私はもう一度頷いた。
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