大魔女の遺言

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 気づいたレイが娘を抱き上げると、ルビィは身を乗り出し、一冊の分厚い本に触れる。しかし一歳児が掴むには太すぎる本だ。 「ルビィ、これが欲しいのか? 凄いなぁー、こんな本、お父さんにも分からないぞ?」  レイが冗談交じりに笑いながら、ルビィが望む本を手に取った。が、思った以上に重かったのか、彼の手から本が滑り落ち、絨毯の上に落ちた。  キラキラと輝く何かを、まき散らしながら―― 「え? こ、これは……」 「宝石? それもこんなにたくさん……」  分厚い本をくりぬき、中に詰められていたのは大小様々な大きさの宝石だった。  宝石とともに出てきた紙を手に取り、サラサは笑った。 「私と同じように、ルビィにだけ見える魔法をかけてたのね。ふふっ……お婆様ってほんと、全て御見通しだったのね? 」 「まあ、限定の菓子で長年仲たがいするような親父たちだからな。マーガレット婆ちゃんが慎重になるもの、仕方ないさ」  苦笑いをしながらレイが呟く。  手紙には、こう書かれていた。
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