大魔女の遺言

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 続きを言えない父に変わり、母が口を開いた。 「今からあなたには、マーガレットお婆様が用意した部屋で、レイと子作りをしてもらいます」  *  身を清めたサラサは、真新しい寝衣を着て、広いベッドの上に座っていた。  あれから両親に、祖母マーガレットの屋敷に連れて来られ、とある部屋に閉じ込められたのだ。 「この部屋は、お前たちが本当の夫婦となった時、扉が開くように魔法がかけられている」  本当の夫婦、とは、まあそういうことだ。  きちんと二人が初夜を過ごせば自由に出入りできるようになり、さらにマーガレットの遺産の手がかりが示されるのだという。  部屋はシンプルなゲストルームだ。  ちらっと扉に視線を向けると、確かに魔法がかかっていた。大魔女の血を引くサラサにも魔法の才能はあるのだが、マーガレットに敵うわけがなくため息をつく。出入り口とは反対側に、浴槽へと続く扉が見える。  テーブルの上には、食料が置いてあった。  確か話によると、三日分だったはず。  つまり、 ”三日の間に心を決めろ、っていうわけね”  サラサはうなだれた。
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