キスレクチャーの余波

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キスレクチャーの余波

僕は三人のキスレクチャーのノルマを終えた。 最初はしぶしぶやり始めたものの、和也に指摘されたように、最後は結構なノリノリでやってしまったのは事実だ。 うん、モテ期来たみたいな感覚で調子乗っちゃった。てへ。 同室の和也には三回とも協力してもらったので、何だかすっかり馴染んでしまった。 だから今までの様なあえての塩対応はやめてしまった。まぁ部屋ではリラックスして過ごしたいし、ね。 「ケンケン、凄いんだけど。」 また煩い奴が来たなぁと嫌気を滲ませてトモを仰ぎ見た。 「…何の話。」 「えー、わかってるでしょ。ケンケンとお試しデート生徒のリスト。凄い数だよ?」 僕はギシギシと首を軋ませながら佐藤を見た。 佐藤はちょっと罰が悪そうな顔をして諦めたように僕に話し出した。 「まだ漆原に話してないのに余計な事言うなよ、トモ。 いや、漆原のキスレクチャーの評判が凄い事になっててさ。 しかもそのレクチャーされた田中たち?が、もう漆原にメロメロというか。 キスレクチャーはもうダメだって僕も言ったんだけど、みんな全然引かなくて。 じゃあ、デート体験ならいいんじゃないかって盛り上がったって訳。 デートならキスまでしなくていいし。みんな、漆原にメロメロにされたいだけっていうか、バーチャル彼氏?的なね?」 「イヤイヤ、バーチャル彼氏なら実際にデート必要ないだろうが。 ていうか、デートでメロメロってどんなコマしなの。僕はそんなのと違うから!」 僕たちがギャーギャーと言い争ってると、後ろの入り口から和也が入ってきた。 「お前たち廊下に丸聞こえ。良いんじゃない?この全寮制の檻の中での癒しになるんなら。 漆原もみんなの為に協力しろよ。 俺、部屋でお前のレクチャーの顛末見てたけど、あいつらキスもそうだけど、それ以外のお前の行動でもっとメロメロになってた気がする。なかなかコマシの素質あると思うぜ。 …もしアレなら、俺が最初にお試しデート体験しても良いけど?」 「はぁ?何で和也とデートなんだよ。 ていうか何でデート体験とかやるテイになってんの?意味わかんないし。」 僕はまた巻き込まれそうな空気にイライラして佐藤を睨んだ。 佐藤はちょっと固まった後、頭をかきながらトモの方を見た。 「ケンケン、そんな可愛い顔すると佐藤だって困ってるじゃん。 うん、やっぱりケンケンは素質あるからデート体験決定! じゃ、希望通り和也がモニター体験ね。」 僕が抵抗するまもなく、デート体験は決定していたんだ。
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