96人が本棚に入れています
本棚に追加
寝る準備
無事張れたテントの中に寝転がってみる僕。
おー、結構広いかも。トモも似たような体型だから、僕たちのテントはスペース余る系?
ふふふと笑ってるとトモが入ってきて言った。
「うわっ、めっちゃ機嫌良い…。ケンケンてクールビューティーじゃなかったんだ…。
あのさ、僕、清水と約束しちゃったんだよね。だからチェンジでok?」
…え?どうゆうこと?僕、わざわざ安全なトモをパートナーにしたのに意味なくない?
僕はじんわり汗が出てきた。
「いやいや、決まり事は守らなきゃダメでしょ!大体チェンジって誰と変わるんだよ⁉︎」
トモはニヤリと笑うと知ってるやつだから大丈夫だし、多分当分ここに来ないから心配するなと言い募って出て行った。
僕は見捨てられたショックもあったけれど、相変わらずのトモの身勝手さに何だかムカムカ腹が立った。
今から思うと迂闊すぎるのだけれど、その時はトモの事で頭がいっぱいだったんだ。
こんなに汗だくなのに風呂も入れない事にもムカついて、誰も居ないうちに身綺麗にしようと着替えることにした。
テントの入り口から誰も来ない事を確かめて幕を降ろすと、直ぐにシャツと仕立て直したコスプレタンクトップを脱いだ。
そして汗拭きシートに手を伸ばした瞬間、誰かが居る気配がした。
誰か居る。振り返れば誰か居る。というか、背中を凝視されてる気がする。やばい。
「…背中、拭いてやろうか。」
慌てて着ると怪しくなるかもと思った僕はあえてゆっくりと動いた。
「…和也?…自分で拭くからいい。」
僕がシートを取ると、和也の手も伸びてきた。
僕は前に来られたら終わりだと思って、サッとシートを渡すと無心で胸元を自分で拭いた。もうなる様になれだ。
和也はシートで僕の背中をゆっくりと拭いた。ゆっくり過ぎない⁉︎
「もう、いいから。」僕がそう言って、タンクトップを頭からかぶると、和也は指先を僕の背中に這わせた。
「…お前の背中綺麗だな。手触りも柔らかいし…。」
「そ、そう?おい、触るなよっ。」
僕は慌ててタンクトップを引き下げるとファスナーを閉めた。
僕は振り向いて睨みつけると半ば諦めモードで言った。
「何、勝手に入ってくれちゃってんの?トモは?」
「俺と交代しろって。俺のパートナー清水なんだ。」
「はぁ?あいつマジで節操が無いな!こんなとこまで来てそんなことする?」
和也は僕の顔を怖い顔でじっと見ていった。
「こんなとこ来たからだろ?俺にもちょっとその意味分かるかも。」
最初のコメントを投稿しよう!