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パートナーチェンジ?
和也はそう言うと僕の両腕を味わう様にゆっくり撫で下ろした。
「時々、お前を見ていると何か湧き上がってくるんだ。
他の奴と仲良くしてるのも気に入らない。他の奴と俺にした様な、あんなキスしてるかと思うとムカつく。
…俺は今まで他人にこんな気持ち感じたことなんて無いんだ。
近づいてきても、離れていっても、どうだって良かった。
だけど、お前は良くない。俺の目の前に居ないと心配だ。」
僕は何も言えなくなってただ腕に触れている和也の手の大きさだとか、熱さを感じていた。
「…和也、僕のこと好きなの?でも僕は男だよ。」
そうだ、和也よ、目を覚ませ!ここに居るのは擬態してるとはいえ、男の子だぞ!
僕は頭の中でこのピンチをどうやって切り抜けたらいいのかまたもや高速回転していた。
和也は僕に何も求めてこないし、距離感もいいし、一緒にいると居心地が良い。
僕が擬態するには和也の側が1番なんだ!
だからといって和也が好きかなんて僕には分からない。
こうやって迫られればドキドキするけど、それはヤバイからのドキドキなのか、恋心としてのドキドキなのか。
今までの僕の恋愛指数の低さがここに来て露呈してしまった…。
僕は焦るとロクデモナイ事をしでかすのは自覚があったけれど、ここでもそれを思う存分発揮した。
「…実は僕、病気なんだ。だから恋愛出来ないんだ。」
「…どっか悪いのか?」
僕は破れかぶれだった。
「うん。僕のおちんちん勃たないんだ。僕…不能なんだよ。」
うん、嘘は言ってない。僕の大事なちんたま君は勃たない、いや、勃つこと叶わずというか。
おや?和也が固まってる。今がチャンスかも。
「うん。だからさ、僕に恋愛感情は持たないでよ。お互いに報われないからさ。…トモ連れ戻すから。」
僕は満面の笑みを浮かべると固まった和也を無視して、さっさと着替えてテントを出て行った。
そして隣のテントにズカズカ入ると、キスしていたトモと清水を引き剥がし、トモを引きずってテントに放り込んだ。
和也の姿は見当たらなかった。
「ちょっと、何するんだよ⁉︎せっかく盛り上がってきたところだったのに!」
「トモこそどうゆうつもりなんだよ!勝手にパートナー変えるなよっ!
こっちは凄い困ったんだからな!」
トモは急に目を光らせて言った。
「あれ?何かあったんだ…。さっき和也テントに入ってったの見たんだもんね。
それで?襲われたの?」
「襲われてない!和也はそんな奴じゃない。…僕の問題だ。
いいから寝るぞ!もう出たら二度と中に入れてやらないからな!」
僕は寝袋に入ると背を向けた。
トモはぶつぶつ言いながらまだ起きていた様だったけれど、出ては行かなかった。
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