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爛れた学校だった件
僕は少々パニクリながら首を振った。
ラーメン呑気に食べてる場合じゃなかった。貞操の危機だった!
「だから、どれでも無いって!」
佐藤は多分赤くなって慌てる僕をじっと見るとボツリと呟いた。
「もしかして、漆原って…全然経験ないの?」
佐藤の言葉に周囲がザワめいた。え?もしかして聴かれてる?っていうかめっちゃこっち見てる?え?
「ぼ、僕先に戻ってるから。」
僕は慌ててトレーを持ち上げると俯きがちに出口へ急いだ。
「あの見た目で経験ないってマジなのかなぁ?ホントにそう思う?裕。
でも僕と和也が抱きあってた時にバッタリ会った時も真っ赤になってたんだよねぇ。そうなのかぁ。ふふふ。面白くなってきた。」
猫が獲物を見つける顔をしたトモの顔を見ながら、僕は最近の漆原を思い出していた。冷たい美人の噂通りに最初の頃、隣の席の漆原は全然愛想がなかった。
でも近頃は話しかけると時々嬉しそうな可愛い顔をする事に僕らは直ぐに気づいた。だからツンデレのトモ側かと思ってたんだけど、違うのかな?
「ねぇ、ちょっと試してみない?裕がやる?もしアレだったら誰か肉食系に頼んでみるよ、ボク。」
悪い顔をしたトモが楽しそうにクスクス笑った。
あーあ、コイツにターゲットにされたら、いくら漆原でも逃げ場がないかもしれないな。
僕はちょっと漆原の嬉しそうな可愛い顔を思い浮かべて言った。
「いや、僕がやる。」
「へー、裕がやる気出すなんて初めてじゃない?来る者拒まず、去る者追わずのくせに。良いけど、じゃあ結果出たら教えてねぇ?楽しみだわー。」
トモはご機嫌でそう言うと約束があるからと去って行った。
ホントあいつお盛んだな。僕はトモに呆れつつ、漆原をどう攻略するか考え始めていた。
「お待たせー。待ったぁ?」
待ち合わせてた和也の部屋を開けると、ベッドに寝転がってた和也に屈んで軽く口づけた。制服のシャツのボタンを手早く外しながら、思い出し笑いをしながら言った。
「そう言えば和也の同居人のケンケンだけど、どーも真っさらっぽいよ。
でね、裕がやる気見せちゃって。攻略チャレンジするみたい。
あいつ可愛い顔してめっちゃ肉食だから、やばいよね。
あいつが自分からやる気出してるの見るのも初めてだし。ケンケン大丈夫かな~?ふふふ。」
和也は僕の手を掴むとゆっくり起き上がった。
「裕が自分から行くって?」
「心配?」
「…いや。同居人だからトラブったら面倒だなと思っただけ。…悪い、ちょっと用事思い出した。」
起き上がった和也の後ろ姿を見ながら、僕は一波乱ありそうだなとワクワクした。
「オッケー。また誘ってねぇ。じゃあまたね。」
退屈な毎日に落ちてきたケンケン。僕は君を歓迎するよ。
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